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鬼の念仏ー大津絵


 「鬼の念仏」は、江戸時代の大津絵ができた当時から、大津絵店の店頭を飾る看板にも描かれるほどの代表的なものでした。鬼が墨染を着て僧の身なりをしています。首から鉦(かね)を下げていて、右手には撞木(しゅもく)を持っています。(念仏踊りなどに用いました)左手には「奉加帳」か「大福帳」を下げていて、(勧進に対して寄進を行った人を記した名簿のことです)背中には唐傘をしょっています。鬼の角は折れていて、目は飛び出して、猫のような髭があり、口には牙があります。古い大津絵では、足に鷲のような爪が描かれていることがあります。これらが「鬼の念仏」の絵の特徴です。
 どんな意味が込められているかというと「偽善をなす人」を風刺しています。鬼が僧の身なりで勧進を行うことは、形だけの善行の例えであると風刺しているのです。「真なき姿ばかりは墨染の心は鬼に現れにけり」「慈悲も無く情けもなくて念仏をとなふる人の姿とやせん」などと「鬼の念仏」とともに道歌が書いてある大津絵もあります。
 もう一方で、折れている角は、我を折って改心したことを表しているととらえ、鬼のような心の人でも、心の角を折って念じて修行すれば、成仏できるという解釈もあります。
 様々な解釈がありますが、大津絵の鬼がなんとも可愛く江戸の人々に愛されていただろうことがうかがえる絵です。

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