竹の子が終わり、竹がまっすぐに空に向かって伸びはじめる6月。雨後の竹の子は、一日であっという間に伸びてしまいます。そんな季節、竹林の七賢人(ちくりんのしちけんじん)を楽しみたいものです。
竹林の七賢人とは、中国の三国時代、魏から晋に至る間に、俗世から離れた竹林の下に集まり、文学を愛し酒や琴を嗜み、高尚な清談を楽しんだ七人の文人たちのことです。竹林の七賢人は、河南省出身の阮籍(げんせき)、山濤(さんとう)、向秀(しょうしゅう)、阮咸(げんかん)、安徽省出身の嵆康(けいこう)、江蘇省の劉伶(りゅうれい)、山東省の王戎(おうじゅう)の七人からなります。竹林の七賢人は、乱世を生き伸び、世の中を良くしようという賢者たちの考えが生んだ集まりでした。茶室での会話も、後世に残る大切な場所にしたいものです。
<お茶の道具組>
軸 「風来香筆硯(かぜきたりてひっけんかおる)」
棚 桑小卓
水指 染付 竹の絵
茶碗 片口
茶杓 銘 「清風」
七賢人の文学を愛したという話から、軸は「風が来て、硯から炭の香りがする。筆を取りたくなるものだ。」という言葉にしました。竹林ですから涼しげな「染付」の竹の絵の水指です。清談とともに酒を愛した七賢に合わせ、昔は酒器であった「片口」の茶碗を用意しました。茶杓銘は「清風」でいかがでしょうか。