大津絵には、鬼の絵がとても多いです。鬼の絵は、様々な風刺をしていて内容を知ると面白くて仕方ありません。いくつかを紹介したいと思います。
「鬼の三味線」という大津絵です。鬼が裃を着て三味線を弾いていて、鬼の前には、盃と徳利があります。「目には酒 耳にはやさしき三味の音 ひかれてさらに鬼とは思わず」と道歌が添えられています。これは、江戸時代当時、「音楽(遊び)や酒に心を惑わされると身を滅ぼす」ことを風刺したものです。
こちらは「鬼の行水」という大津絵です。鬼が樽のお風呂に入ろうとしている様子で、頭の上には雷雲があり脱いだ鬼のパンツ(ふんどし)が巻き付けてあります。「上皮(うわがわ)を洗い磨きて心をば 洗わぬ人の姿なりけり」「鬼じゃとてなど仏とならざらむ 心の鬼を洗い落とせば」などの道歌が添えられていることがあります。これは、「体を洗っても心を清めない人」を風刺したり、「外見ばかりを気にする人間」を風刺したものです。
こちらは「雷公の太鼓釣り」という大津絵です。鬼が雲の上から、大切な雷太鼓を水面に落としてしまって、稲妻が閃く中、錨で何とか拾おうとする絵です。「猿も木から落ちる」のように「熟練した人でも、過ちはある」という意味合いにとらえたり、大切な太鼓を、雷や稲妻が弱い時に鬼が錨で拾おうとする絵であることから「雷除け」としても人気があったようです。ゲリラ雷雨とか多いこの頃、こんな軸があったら茶室も楽しくなるなと思っています。
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