通年 茶室

床の間の下壁に開いている穴は何かー狆潜り(ちんくぐり)

黒野良さんによる写真ACからの写真
写真は書院造りの床の間です。床の間の左下に四角い穴が開いているのがわかるでしょうか。これのことを「狆潜り(ちんくぐり)」といいます。

 狆潜りは、床の間の下の方に開いている穴のことを相称します。狆(ちん)とは、日本原産の小型犬のことです。狆がくぐれるような隙間としてこの名称がついています。狆がこの時代、殿様や貴族に愛された犬であったことがうかがえます。
狆潜りを床の間に作った本来の目的は、書院から採り込んだ光を違い棚の下側の奥までとどかせる役目を持っています。違い棚とは、床脇棚のことです。高さの違う棚を二段組み合わせるものですが、床に近い側に高い棚を作ります。狆潜りから採り入れた光をさえぎらないためです。

 元来、違い棚には置くものが決まっていました。高い棚には、冠・香炉・筆を置きます。低い棚には、烏帽子・壺・印判・巻物・書物・硯箱を置きます。高い方の棚の中央側には、置いた筆が転がって落ちないように「筆返し」が取り付けられ、現在も装飾として残っています。地袋も昔は鎧を入れた鎧櫃を収納する場所であったため、幅・高さとも基準となる大きさがありました。

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