5月 11月

茶壺道中とずいずいずいっころばしの歌の意味とは


 「夏も近づく八十八夜」立春から88日目、陽暦の5月1,2日頃のことです。
 現在は、茶摘みをしてすぐに新茶として販売していますが、昔は5月に収穫したお茶をすぐには飲みませんでした。
 江戸時代は、4、5月ころに江戸から宇治に使者が発ち、5月に収穫した茶を茶壷に入れてもらい、使者に江戸まで届けさせました。使者は立春から100日後に江戸から東海道経由で下り、御物茶師の上林家で茶詰めをしてもらい、帰路は中山道を経て土用の2日前(7月末~8月上旬)に江戸に到着する習わしでした。この茶壷を寝かせておいて、11月に「口切り」で開封します。寝かせて熟成した茶を口切りして、新茶としていただいていたのです。江戸まで茶を届けさせることを茶壷道中といいます。
 茶壷道中のことを歌った童謡があります。「ずいずいずっころばし」です。
ずいずい ずいっころばし
ごまみそ ずい
ちゃつぼに おわれて
とっぴんしゃん
ぬけたら どんどこしょ
たわらの 鼠が 米食って チュウ
チュウ チュウ チュウ
お父っつぁんが呼んでも
おっ母さんが呼んでも
いきっこなしよ
井戸のまわりで
お茶碗欠いたの だぁれ
 童謡の意味がとても面白いです。
「茶壷に追われてとっぴんしゃん」
庶民は茶壷道中の一団が通るときに沿道にいてはいけないので、茶壷道中に追われて戸をぴしゃんと閉めます。
「抜けたらどんどこしょ」
茶壷道中が通りすぎた後(抜けたら)、安心して「どんどこしょ」と腰をおろします。
「俵のねずみが米食ってチュウ」
「井戸の周りでお茶碗欠いたのだあれ」
ところが、茶壷道中がもうそこで通りすぎようとした時、お米をかじってるねずみや、井戸の周りでお茶碗割ったりしているのはだれだ!静かにしなきゃだめじゃないか、と歌っているわけです。わらべ歌の中で江戸を風刺しています。
 茶壷のわらべ歌はもう一つあります。
「ちゃちゃつぼちゃつぼ ちゃつぼにゃふたがない 底とって蓋にしろ」
手をグーパーにして遊びましたよね。これも茶壷というものは蓋がないのが普通の作りで、木で蓋を作り茶壷にかぶせて茶壷の中に毒が入らないように紙で封印して茶を詰めたお茶屋の印をつけてもらい密封していました。「茶壷にゃ蓋がない」殿様に飲ませるような大切なものに蓋がないのは面白いと思ってわらべ歌にしたのかもしれません。
 



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