通年 茶室

なぜ東(とう)というのか


 亭主のことを「東(とう)」と呼ぶのはなぜなのか。亭主は茶室の中では、西の方角に座っているのですが、東(とう)と呼びます。これは、日本人の考え方、貴人よりもへりくだっているという考え方からの呼称です。
 南向きに茶室を作るのが基本なので、入り口は「南」にあります。入口を入って正面に床の間があるので、床の間は「北」につくります。北は寒さを防ぐために、床の間で閉じてあります。貴人である客は床の間から座りはじめるので「東」に座っています。そして、亭主は「西」に座ってお点前するのに「東(とう)」と呼びます。
 「東(とう)」という呼び名は、西上位のへりくだった呼び名です。絹織物や茶の文化は西からやってきているため、東(とう)から西の方にお茶を勧めるという意味です。
 しかし、亭主(東)が座っている位置は西に座っています。これは、陰陽の関係での座する位置です。お日様は東から昇るので、貴人である客には「陽」の位置である東から座っていただきます。亭主(東)は、日が沈む「陰」の位置、西でお点前をします。方角と呼び名が逆になっているので、理解するのが難しいです。「半東(はんとう)」は「東」をお手伝いする役割の方の名称なので「半東」となります。

(参考文献)「茶の湯稽古場日誌」黒田宗光著(淡交社)

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