蟹の絵に何か物語があるのか。

我が家にある見立ての水指。
柳に蟹が二匹か三匹か。どんな物語があるのか。
蟹は立身出世を表します。なぜなら、蟹の甲羅を一甲、二甲と呼び、甲乙丙丁の順の一番上を表したため、中国の科挙試験合格を表したためです。
そう思ってこの水指を眺めると、柳につかまって上へ上へと昇ろうとしている蟹が力強く感じます。
そして、もう一つ。
「華甲香合」というものがあります。
「華甲香合」
菊の形をした香合の上に蟹の絵が描いてあります。菊は「華」を表し、蟹は「甲」です。
「華甲」で還暦のことを表します。
「華」という漢字を分解すると、六つの「十」と一つの「一」に分けられるので、61才還暦を表します。
そして、「甲」は赤い蟹を表しおめでたい。還暦のお祝いには持ってこいの香合です。
蟹は、おめでたい柄でもあり、立身出世を表す柄でもあるのです。
「華甲香合」