6月

お稽古とはー稽古照今


(利休百首の一)「その道に入らんと思う心こそ我が身ながらの師匠なりけり」
 どんなことでも、その道に入ろうとするには、先ずは志を立てなければならないです。そして、その志を立てたことでもうすでに心の中に師匠ができているということを詠んでいます。
 「稽古始め」というのは、6歳の6月6日から始めるのが良いとされてきました。これは、6という数字を指で数えると、6は小指を立てて数えます。このことから「子が立つ」という意味合いを込めて子供が稽古を始めるのには、良い日であるとされてきました。
 「稽古」とはどういう意味でありますでしょうか。「稽古照今」「古きに稽(あた)りて今を照らす」と読みます。「古事記」の太安万侶の序文の中に出てくる言葉です。茶道の稽古というものは「道」という修行です。古きを何度も何度も稽える(かんがえる)ことによって、今を照らすことができるという意味です。
 新しい事を追求することばかりが茶道ではなく、古(いにしえ)のことを学ぶことがまずは大切ということです。その上で、自分の茶道を作り上げていきます。一生続く道なんだと思っています。
 千利休は利休百首の中で「稽古とは、一より習い十よりかえるもとのその一」とも教えています。稽古を始めて、一・二・三と順番に習います。十まで習ってから、元の一に戻って一の稽古をすると、最初に習った時とは全然自分の心が変わっていると詠んでいます。稽古を続けていくことで、いかに基本の稽古が大切で継続が大切かを教えてくださっています。

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