通年 茶室

襖(ふすま)の種類「太鼓張り」

「襖」は日本ならではの扉です。外国のようにノックして開けるドアではなく、襖は二手で開ける。襖は一手目で少しばかり開けることによって、相手に開けることを知らせるノックの代わりになります。それからおもむろに二手目で大きく襖を開きます。襖を開けるのにも、呼吸が大事なことがうかがえます。
茶室の襖は白無地が基本です。小間でしたら光を通さないですし、照明の助けとなるからです。
小間には、太鼓張りの襖が多いです。襖に黒い縁をつけないで、桟の両面から和紙を張って手掛かりをつけた襖のことです。太鼓張りに使われる和紙は、楮(こうぞ)や三椏(みつまた)、また雁皮(がんぴ)のみを手漉きした和紙を使います。この写真の引き手は「塵落し」となっていて、基本は席中側にします。下の部分が斜めになっていて、塵がたまらないようなっています。下の方を切り込んで受けがある引き手は「塵受け」となり、水屋側に作ります。両方を「塵落とし」にする場合もあります。

太鼓張りには、茶室におけるいくつかの利点があります。
〇縁をつけないことで、建具が軽く静かに開閉できます          ◯縁がないため、白一色なので、部屋が広く感じます。
〇白一色のため、夜咄の茶事の時など、灯火を映し茶席を明るくする助けをします。
〇太鼓張りの名の通り、襖の中が空洞になっているので襖を閉めて水屋にいても、席中の音が聞こえるようにできています。
難点は、太鼓張りには手掛かりになる縁がないため、襖の開け閉めが難しいです。                左側に襖を仕舞う場合、開ける時は、右手で自分側の引手を少し開き、右手で下の方の縁の部分に手を添えて開きます。閉める時は、縁をつかんではいけないので、右手で相手側の引手に手をかけて10センチくらいまで閉めて、右手で自分側の引手に手をかけて閉めます。相手側の引手部分が見えないので、右手で探すのが難しいですが、正座をして目線のところにあるのが普通です。職人は様々なことを考えて茶室を作り上げています。

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