通年 着物

なぜ茶室で着物を着るのか


 茶室では、着物を着ることが大切です。なかなか一人で着るのが大変で一歩が踏み出せないものですが、着物でお点前すると、なぜ右手で取るのか、三手で水指の蓋を開けるのか、建水をすすめるのかということがわかるようになります。着物には袖があるため、それを考慮してお点前ができているのです。
 着物を着て、擦り足で畳を歩くのにも理由があります。衣擦れの音が大切なんです。この擦り足で歩くというのは、千利休が能の師匠の歩き方を茶室に取り入れたのが始まりです。

(衣擦れの音)
 茶席でお客様をお迎えした時の、始まりの時を説明してみます。 
〇亭主は、襖の外に戸を閉めて座っています。
〇正客が躙り口から入ってきて、床の間と道具を見て客畳に座ります。衣擦れの音が茶室で続いています。
〇詰の方が躙り口の戸を「カタン」と音を立てて閉め、鍵を「カチャ」と落とします。最後の客が席入りしたんだなと亭主はわかります。
〇詰の方が床の間と道具を見て客座に座ります。衣擦れの音が茶室に続いていて、この音が止まると、亭主は最後の詰が客畳についたことがわかります。
〇一呼吸おいて、亭主は戸をあけます。
 茶室の中には、大切にしたい音がたくさんあるのです。



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