桜と紅葉、両方描いてある模様を「雲錦模様」といいます。春と秋どちらの季節にも使うことができます。人それぞれに、桜と紅葉に思い出の場所があるかと思いますが、「雲錦」の言葉ができたのは、奈良県吉野からです。
「古今和歌集」の中の一文、『秋の夕べ竜田川に流るるもみぢをば、帝の御目に錦と見たまひ、春のあした吉野の山のさくらは人麿が心には雲かとのみなむおぼえける』この一文から桜のことを「雲」紅葉のことを「錦」というようになったようです。日本人ならではの、比喩表現です。
その他に、京都の言葉遊びに「吉野の桜は雲かとぞ見え、竜田の紅葉は錦の如し」がある。これらのことから「竜田川」や「桜川」の文様も意匠化されています。文様は桜一つとってもたくさんあって、流れゆく季節のうつろいを茶室でいつまでも楽しむことができます。
「竜田川」蒔絵の棗
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