3月

釣釜

三月は釣釜の季節です。
いつでも使ってよい釣釜ですが三月に好まれる理由があります。

二月までは大きな釜を使います。これは、寒い季節なので釜の蓋を開けたときに湯気がたくさんあがり暖かく感じるためです。そして三月。春になり暖かい陽気になってきたので釜を小さくします。しかし、春とはいってもまだ寒いときがあります。そこで、釣釜にして釜を持ち上げ炭の火がお客様に見えるようにしています。春の風情、ゆれる軽やかさを茶室で表現しているのです。

また釣釜は、旅箪笥を組み合わせて使うことが多いのは、千利休が豊臣秀吉の小田原攻めに同行したことから始まります。戦の場所に同行したため、茶室がありません。そこで、箱形の旅箪笥に茶道具一式をいれて持ち運び茶を点てることになりました。しかし、釜で湯を沸かすことができなかったため、穴を掘り火をおこしそこに木から吊るした釜を下げて湯をわかしたため、旅箪笥と釣釜を組み合わせて使うことが多いのです。

釣釜には、決まりがあります。釣釜を鎖で吊るすのは、広間です。自在で吊るすのは、小間です。

竹の自在は高低自由になることからこの名があり、山家などの囲炉裏に用いていたものを利休が茶室に取り入れました。

自在のそれぞれの名称です。我が家の自在は、主人の父の手作りです。竿の竹は七節と決まっています。竿をかけるために天井に打ってあるのは蛭釘(ひるくぎ)私達の流儀は、蛭先を下座に向けます。竿から出て釜をかけるのは鉤(かぎ)我が家は南天の木で作っています。そして、自在の高低を調整して止める役割の木の板が小猿(こざる)。小猿と竿をつないでいるのが猿縄(さるなわ)です。猿縄は、右にして釜を掛けます。逆勝手の時は、反対の左にして釜を掛けます。茶室の中で、小猿が頑張って釜を支えているんだなと思うと何だか一人でに笑みがこぼれます。

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