こちらの台子は「及台子」です。
我が家の及台子は、天板が一枚板ですが、天板に筆返しとか落込みと呼ばれる縁取りがあるものもあります。
これは、天板の上に置いた鉛筆などが転がらないようにと実用的な部分が残っています。
柱は、上下に雲形の力板(鰭板ひれいた)の入った二本柱です。
及台子は、及第台子ともいい、元来は唐物で、中国の官吏登用試験である進士科挙の合格者(及第者)のみが通れる門あるいはその門の額を模したものとも、進士合格者の作文を置くための台に由来するともいわれています。
中国の雰囲気が残るのは、雲形の力板とそこにくり抜かれた模様です。このくり抜かれたハートマークを「猪目(いのめ)」と言います。
火伏せの魔除けの模様です。
言い伝えは諸説あるようですが、獣の力で魔除けになっているとか。
魔除けですから、神社仏閣などの建物に多く見られます。
神社でハートマーク見つけたら、縁結びに繋がりそうですね。猪の目の形がハートマークに見えた昔の人の感性におおらかさを感じます。
及台子、炉の季節でしたらいつでも使える台子ではありますが、1月に使うなら初釜の華やかさを彩ります。
そして、神社仏閣の初詣を思わせる道具組を楽しみます。
2月3月に使うのでしたら、棚本来の意味である及第点を取るにかけて、合格祈願の一服を楽しみたいものです。