何で端午の節句に鯉のぼり飾るのですか?これって意外と素朴な疑問なんですね。なんで男の子の節句に鯉?そして空に泳がせるのか?これは中国の故事からはじまっています。
中国の正史、二十四史の一つである「後漢書」による故事で、黄河の急流にある竜門と呼ばれる滝を多くの魚が登ろうと試みたが鯉のみが登り切り、竜に成ることができたことに因んで鯉の滝登りが立身出世の象徴となった、とあります。「登竜門」の言葉の始まりです。
茶室では、「三級浪高魚化龍(さんきゅうなみたかくしてうおりゅうとかす)」という軸をよく掛けます。三段にも連なった高い滝を登りきった鯉は、悟りを開いて龍になるという意味です。
鯉幟についている「吹き流しと矢車」にも意味があります。五色の吹流しは、男の子の無事な成長を願って「魔よけ」の意味で飾られました。五色は陰陽五行から来ています。カラカラと回る矢車も音で魔除けを意味しています。
また、菖蒲湯に入るのは、無病息災を願いけがれを払ったためです。「菖蒲」は「尚武」にも通じて、武術や勇気を大切に思う心に通じます。「柏餅」を食べるのは、柏は古来神聖な木とされ、樹木を守る葉守りの神もこの木に宿るされました。そして、大きな葉が昔は食器代わりとして用いられたため、武士だった男の子の節句の食べ物としてはぴったりです。
「粽」は中国からの神話からきています。楚国の賢人屈原(くつげん)が入水自殺したことを悔やみ、これを供養するために供物を川の中の悪い龍に食べられないように楝の葉で米を包み、魔除けの五色の糸を巻いて川に流したことが始まりです。
茶花は「菖蒲」ももちろんですが「矢車草」もよいです。
鯉幟を飾るわけ