七夕は五節句の一つです。牽牛(けんぎゅう)と織女(しゅくじょ)二つの星が年に一度、7月7日の夜に天の川の間で出会うという伝説による星祭りの節句です。
七夕の供え物は、詩歌を書いた短冊や色紙・五色の糸です。これは、織女のように書や裁縫が上達するように祈って供えられました。その他の供え物は、キュウリやなす・果物などの夏の収穫物です。これは、牽牛の1年間の働きに作物の豊作と感謝を込めています。
そして中国の伝説から伝わった夏の収穫物といったら「麦」です。そのため昔は「索縄(むぎなわ)」を食べる習慣がありました。索縄・麦縄は麦餅とも書いて、次第に「素麺(そうめん)」と呼ばれました。中国の高辛氏の子が7月7日に夭折し、鬼神となって病を流行させたために鬼の好物の麦餅を命日に供えることによって、病が治まったという伝説から「素麺」を食べられていました。また、たらいに水を張り星写しの器としてお供えものと一緒に置いたりもします。たらいの水に二星が写ると願いがかない、また水によって穢れを払う意も込められています。
<お道具組>
「七夕」の短冊。
濃茶入は、見立ての「塩笥(しおげ)」。塩を入れていた壺ですが、吹墨になっていて青色が爽やかです。匙をのせるところは金継ぎが施されています。金の部分は月。吹墨は流れ星に見えたらいいですね。茶杓は、東山御物の写し「笹の葉茶杓」。仕服は「いちご錦」。