「嶋台」とは、金銀の重なった赤楽茶碗のことです。金銀二段になっていて盃の形、蓬莱山を表しています。本歌は長入作になります。
高台は金の茶碗は五角形で鶴を表し、銀の茶碗は六角形で亀を表しています。おめでたい茶碗であることから、お正月の初釜の時の濃茶に使われる茶碗です。
この茶碗が出来たのは、江戸中期。表千家七代如心斎によって造られたものです。
この茶碗と川上不白には、特別な繋がりがあります。
不白は、京都で如心斎を師事していました。その如心斎に頼まれて江戸で行方不明になっている「利休遺偈」を取り戻す使命を受けます。
不白は単身で江戸に出てきて、まずは京都の茶道を江戸に広めていきます。たくさんのお弟子さんに不白流を継がせて、「利休遺偈」のことを探します。そして、茶事をする中で「利休遺偈」は深川の材木問屋の冬木家が所有していることを知ります。不白は茶事に冬木氏を招き、「利休遺偈」は利休の最期の言葉であり、表千家が所有していることがふさわしいと説得し、如心斎から預かった品々と「利休遺偈」を交換してもらいます。この功績を称えて、如心斎が嶋台を造り不白に贈ったことが「嶋台」の始まりです。今では、様々な流派が初釜で使われている嶋台ですが、始まりは表千家と表千家不白流からなのです。
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