11月 着物

子供の着物の背中についているものとはー背守り(せまもり)

小さな子供の着物の背中には、家紋の部分に可愛い縫い模様がついています。これを「背守り」といいます。この目には、縫ってくれたお母さん達のたくさんの愛情が込められています。

「熨斗」の背守りがついた着物。
「背守り展」に行って知ったことです。昔の人は、魔物というものは、背中から忍び寄ってきて、魂は背中から抜けていくと考えていました。大人の着物には背に一本の縫い目があります。この縫い目を本物の「目」と同じであると考え、背中の「目」が魔物をにらんで退散させるものだと思ってきました。
ところが、3歳までの一つ身の着物には、背中に縫い目がないのです。魔物を睨む「目」として縫い付けられたのが「背守り」です。


この背守りは、縫い目で魔除けをしています。一年を12か月と考えて、真ん中に縦に9目縫います。男の子には、左斜めに3目入れます。女の子は右斜めに3目入れます。
ということで、上の着物は男の子用とわかります。男の子が左斜めというのは、左上位ということでしょうか。先端にお札もついています。


この背守りは、縫い目で三角形の魔除けを作っています。房がずいぶん長いです。この長さも大切だったようで、房は子供が危険な目に遭遇したとき、荒神様や産土神が糸印をギュッとつかんで救い上げてくれるものです。悪魔がこの房をつかもうとすると、糸が着物からツルリと抜けてしまい、子供が逃げだすことができたそうです。


こちらは、立身出世の鯉の着物に花菱の背守りです。花菱は、魔除けの意味があります。


こちらは「百徳着物」。子供の健やかな成長を願って、百人から端切れを貰ってきて作った着物です。百人の徳が身に付いた端切れを使って一枚の着物に仕上げています。
背守りは、五芒星で、陰陽師に通じる魔除けの意味があります。

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