神社の拝殿に掛かっている帳(とばり)とよばれる白い布。その布には、黒い文様が入っています。これが「朽木文様」です。木や板が虫などに喰われて朽ちた様子を文様にしています。朽ちていくもの、壊れていくものにも美を見いだす日本人の感性です。

朽ちていく文様として残っているものは、「破れ扇」文様。こちらは家紋にもなっています。破れてきた扇子も大切にする日本人の美意識です。

「破れ」という言葉を使う文様は他にもあり、「破れ七宝」「破れ麻の葉」などがあり、これらは朽ちていく美しさを表現したものではなく、全ての文様を描かずに余白を楽しみ、完成を想像させるために一部を描かないという表現です。
「破れ扇 帯」

「破れ七宝 着物」