許由(きょゆう)とは、中国古代三皇五帝時代の人と伝わる、伝説の隠者である。 伝説によれば、許由は陽城槐里の人でその人格の廉潔さは世に名高く、当時の堯帝がその噂を聞き彼に帝位を譲ろうと申し出るが、それを聞いた許由は潁水のほとりにおもむき「汚らわしいことを聞いた」と、その流れで自分の耳をすすぎ、箕山に隠れてしまったという。
この故事には続きがあり、巣父(そふ)という人物も、堯帝から天下を譲られようとして拒絶した高士であったが、耳を洗っている許由を見て、そのような汚れた水は牛にも飲ませることができないと言って、引いていた牛を連れて帰った、という故事が続きます。
両方の故事ともに栄貴を忌み嫌うたとえとして使われます。
先日の茶会で茶杓銘「許由」
心に響く茶杓銘でした。
中国ではこの故事を描いて、滝の下で許由が耳を洗う山水画などがあります。