川上不白は、江戸千家、表千家不白流の流祖であります。
和歌山県新宮に生まれ、表千家7代如心斎から茶道を学びました。22才で「宗雪」の茶名をもらい、31才で真台子を伝授され、その如心斎から頼まれて江戸に茶道を広める目的と、利休遺偈を取り戻す使命を託されて江戸に出てきました。利休遺偈については、また今度。
江戸で茶道を広めるために、京都の茶道の一子相伝とは違い、たくさんのお弟子さんに茶家を譲り、茶道文化が盛んでなかった江戸に茶道を根付かせました。そのため、不白流は江戸千家、表千家不白流などいくつかの流儀に分かれています。江戸で茶道を広めることができたことにより、表千家家元如心斎から頼まれたある使命の役割も果たすことができました。
たくさんの功績を残した不白でありますが、代をお弟子さんに譲った後、大徳寺の大瀧和尚から宝暦元年(1751)賜った雅号が「孤峰不白」です。
「孤峰」の雅号の由来は「葛藤集」の第15篇の禅問答からとられたものです。
僧、曹山に問うていわく 雪千山を覆うなんとしてか孤峰白からず
山いわく須らく異中の異を知るべし
僧いわく如何なるか是れ異中の異 山いわく諸山の色に随せず
山々は雪に覆われているのに、なぜあの山だけは雪が降り積もらないのですか。
世の中には他とは異なったものというものがある。
その中でも、特に異なったものとは何ですか。
山々にあてはまらない優れたものである。
という意味である。
一見すると、人とは違うというものに見えがちであるが、実は他の人とはくらべものにならないくらい優れたものの意味である「弧峰」です。
川上不白の不白忌は10月4日です。
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