通年 茶入・棗・茶器

濃茶の掃き方


茶入からの抹茶の回し出しを解説しようと思います。登録の都合上、回し出しの部分から切り取ってのビデオ再生になります。
〇右手で茶杓を取り、左手で茶入を持ちます。
〇茶入の蓋を取り、茶碗の右横に置きます。
〇茶入を茶碗と同じ高さまでおろします。
〇抹茶をすくい、3杓掃きます。(この3杓が一人分になります。)
〇右手で茶杓を茶碗の右端にのせます。
〇右手を下、左手を上にして茶入を横にして持ち、手前に回しながら抹茶を入れます。3人分の場合は、3杓掃いた量が一人分ですから茶碗に入った抹茶の量を目安に後2人分回しながら入れます。
〇回し出しで3人分の抹茶が入ったら茶入を左手で持ち帯の高さまで茶入を引き、右手の親指と人差し指で茶入の口を「こ」の字で拭きます。
〇抹茶で汚れた右手の指先を懐の懐紙の内側の紙で汚れを落とします。(外側の懐紙で指先を拭くと、着物が汚れてしまうことがあるので気を付けてください。)
〇右手で茶入の蓋を取り、閉めます。この時、左手は帯の高さのまま動かさずに右手だけが動いて蓋を閉めるようにします。
〇そのまま左手で茶入を定位置に置きます。
〇茶杓を右手で取り、左手で茶杓を横にしてしっかりと茶杓を右手で持ちかえて「天地人」で上下真ん中に線を引き茶をならします。
〇茶碗の縁で茶杓の下3分の1ほどの位置で1回軽くたたき、茶を落とします。茶杓の櫂先を茶碗の中に下向きにすると小さな音で抹茶もきれいに落ちます。
〇茶杓を茶入の上にまっすぐのせます。この時、茶杓は茶入の蓋のつまみを真ん中にして左右ありますが釜に近い方(釜付)に茶杓をのせます。したがって炉と風炉では、茶杓をのせるのが左右反対になります。象牙の蓋に虫食いがある場合は、茶杓をのせる位置と反対側に虫食いがくるようにします。

利休百首の中に茶入から抹茶をすくう時の心得を詠んでいる歌があります。「茶入より茶掬うには心得て 初中後すくへそれが秘事也」とあります。「初中後」というのは茶杓ですくう3回の事を言っています。このすくい方がすべて同じ量の3回では面白くなく、「序破急」のように最初は少し少なめにすくい、2回目は1回目より少し多くすくい、3回目は一番多くすくうことで緩急をつけましょうと詠んでいるのです。

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