茶道の点前の中に「盆点前」というものがあります。私達の流儀では「盆点前」は3種類あります。「基本盆点前」「略盆」「茶箱」になります。すべてお盆の上に茶道具をのせて運び出す点前のことを「盆点前」と言います。お稽古としては瓶掛けやポットでお点前できることから、夏の暑い季節に気軽なお稽古として行なわれることが多いですが、盆点前の始まりは全く違う意味合いから作られたものです。
「盆点前」の始まりは、表千家は十三代即中斎により戦後に定められ、裏千家は十三代圓能斎により大正初期に始まり、武者小路千家は十二代愈好斎、十三代有隣斎により、昭和十年代の中頃に成立しました。比較的新しい点前ということになります。なぜ、「盆点前」というものがそれぞれの流儀で始まったかというと、戦後すべてのものが焼けてしまいお茶道具も焼失してしまいました。そのような戦後の中でも、お盆一つあれば抹茶をいただくことができるとお家元自ら全国をまわり、茶道普及のために人力したと聞いています。現在では、お庭やベランダなど、外に持ち出して一服、海外転勤の方が盆点前を習得してどこでも手軽にお茶を一服という印象がありますが、盆点前の始まりはどんな時でも茶道を続けて欲しいという願いがこもった点前なのです。
盆点前の和菓子入れとして使われる「振り出し」です。「金平糖」や「甘納豆」を入れて楽しみます。取り方は、懐紙の4つ角を折って和菓子が転がらないようにして、振り出しの蓋を懐紙の上に置き回し出しをします。
「振り出し」は盆点前の和菓子を入れるだけでなく、「ゆか里」や「浮き星」を入れて寄付の汲みだしの湯に添えたりしても使われます。
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