お盆とは「精霊祭」のことを表します。7月13日に先祖の霊をお迎えして、7月16日にお送りする行事です。全国各地、様々な行事があるとは思いますが一部をご紹介します。
7月13日に先祖の霊をお迎えするために迎え火を焚きます。霊は苧殻(おがら)を折って火を焚いた煙にのって、盆灯篭の明かりを頼りに家に帰ってきます。苧殻(おがら)とは、麻の茎の皮を剥いで乾かしたもので、麻は神社などでは清浄なものとして神主の衣服などにも使われています。明るい場所を目印に霊が降りてきてくれますので、精霊棚には、「盆灯篭」や「鬼灯(ほおずき)」などを飾ります。迎え入れられた精霊は、真菰(まこも)の上に座りますので精霊棚に篠竹を柱として立てて真菰を敷きます。真菰は、お釈迦様が病人を寝かせるために使ったものだと伝わっています。精霊を迎え入れたら苧殻の迎え火を消す必要があります。この時の消す水は、蓮の葉の上に水を蓄えておいて、この水に萩の葉を浸し、迎え火に振りかけて火を消します。蓮の葉に蓄えておいた水のことを神様にお供えする「閼伽水(あかみず)」と呼びます。
お盆のお迎えといったらその他にも「盆踊り」や「花火」です。こちらも自宅でお迎えするのと同じ意味で、明るい場所を作り霊をお迎えすると同時に、地域全体で霊を慰めるために捧げたものです。中央の櫓のまわりに輪になって太鼓や笛、鉦に合わせて踊ることで霊魂も心の安らぎを覚えます。そして私達も踊りや花火でハレの気をもらいます。
また、霊はキュウリの「馬」に乗って帰ってきて、ナスの「牛」に乗って帰ると言われていますのできゅうりとナスに割りばしを刺して乗り物を作って飾ります。13日には足の早い馬に乗って帰ってきてもらい、16日には歩みの遅い牛に乗ってゆっくり帰ってもらう意味合いがあります。
13日に迎え入れた先祖の霊に対して、盆中には朝晩お参りして毎日の供え物や苧殻の箸などを交換して供養します。正月とお盆の間は「地獄の釜の蓋もあく」と言われます。「地獄の釜」とは閻魔様が地獄で罪人を煮えたぎらす大釜のことで、地獄の鬼たちやすべての人が殺生をやめて休む日とも言われています。待ち望んだ休みの日というのがうかがえます。
先祖の霊をお迎えした後は、17日には先祖の霊を送るために送り火を焚きます。迎え火と同じように苧殻で火を焚いて、精霊棚に敷かれていた真菰を編んで送り舟の形にして川に流します。これが変化して「精霊流し」という行事が行われます。精霊舟には灯火をつけて、周りには経文や屋号を書いて送り出します。同じ意味合いで、京都の「大文字焼き」が有名です。
盆の風物詩、各地で様々な行事が催されることと思います。ご先祖様と語らいの時間を大切に一服点てたい時間です。