柄杓の扱いで「中水底湯」とは、柄杓で湯や水を汲む時に気を付けるべきことです。
柄杓で水を水指から汲む時は、水指の真ん中あたりの水を汲みます。水は、対流しないので表面と底に塵が積もるので、水指の中の真ん中の水はきれいだからです。
柄杓で湯を釜から汲む時は、釜の底から湯を汲みます。湯は、対流しているので上に塵が浮かぶため、柄杓を底に沈めて底のきれいな湯を汲みます。
しかし、この底湯。簡単にはできるようになりません。柄杓を伏せて湯にくぐらせ、柄杓の合が半分くらい湯に入ったところで、合を上に傾けないと「ボコッ」と音がしてしまいます。また、この柄杓に汲んだ後に、茶碗までに湯をたらさないようにするのが難しいです。柄杓の合を釜に水平に汲んだ後、合を少し傾けて一滴釜にたらします。この動作をすることで、茶碗までの間に湯をたらすことはありません。
利休百首でも柄杓のことを詠んでいます。「柄杓にて湯を汲む時の習いには三つの心得あるものぞかし」
三つの一つは、柄杓の合に十分目に汲まず、九分目にくらいまで汲むことです。
二つ目は、「中水底湯」のことです。
三つめは、「油柄杓」をしてはいけないということです。「油柄杓」とは、江戸時代の油屋が他の入れ物に油を移す時に、タラタラと柄杓の合の側面に油を垂らしながら、徐々に柄杓を上げていって油を入れる様のことを言います。この油柄杓は茶道ではやってはいけないことです。